2024 年 53 巻 2 号 p. 70-73
症例は73歳女性,労作性呼吸困難あり,重症大動脈弁狭窄症と右冠動脈狭窄を認めた.大動脈弁置換術と冠動脈バイパス術の手術適応と考えた.大伏在静脈グラフトの中枢側吻合を上行大動脈に予定していたが,術中所見では予定部位の大動脈壁が拡大しており脆弱で吻合に適さないと判断した.壁の性状から弓部付近への吻合が適当と判断した.大動脈遮断部位より末梢側で部分遮断鉗子を使用できないため,中枢側吻合デバイスを用いてclamp lessで吻合した.術後の冠動脈造影CTではグラフトは良好に開存していた.