2024 年 53 巻 4 号 p. 208-211
感染性大動脈瘤は,Open surgeryが治療の第一選択とされるが,侵襲も大きく高い死亡率が報告されており,近年は感染性腹部大動脈瘤に対してEVARが選択されるケースも散見される.今回われわれは感染性腹部大動脈瘤切迫破裂に対するEVARの術後フォローアップにおいて,ガリウムシンチグラフィが有用であった症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.61歳男性,腰痛が悪化し当院総合診療科を受診,CTで腎動脈下腹部大動脈に最大径50 mmの嚢状瘤を指摘され,切迫破裂と診断し準緊急でEVARを施行した.術後5日目に発熱を認め,血液培養からSalmonella菌が検出されたため感染性腹部大動脈瘤と診断し抗菌薬治療を開始し,解熱,CRPの陰性化および瘤の縮小が得られた.術後1カ月目に施行したガリウムシンチグラフィで認められた瘤壁への集積も,術後約半年で消失した.術後9カ月目のCTで瘤はほぼ消失したため抗菌薬の内服も終了した.術後1年以上経過したが現在も再燃なく経過している.