2024 年 53 巻 4 号 p. 212-215
症例は66歳男性.急性大動脈解離Stanford Bの保存加療後で外来経過観察をしていた.発症後3カ月のCT検査で遠位弓部大動脈の拡大,下行大動脈に新規ULP(ulcer like projection)を認め手術適応と判断した.遠位弓部大動脈瘤に対し弓部大動脈全置換術(以下TAR: total arch replacement)+Frozen elephant trunk(以下FET)を行い,2期的に下行大動脈瘤に対し胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)を行う方針とした.術前心臓超音波検査ではmoderate ARを認めたため,大動脈弁置換術(AVR)+TAR+FETを施行した.術後12病日のCTで左頸部に嚢胞性腫瘤を認め,穿刺吸引を行い内容液の精査をした結果,左頸部リンパ嚢胞と診断した.ドレナージ,脂肪制限食などによる保存加療を行ったが,排液の減少傾向は認めず,胸管結紮術を要したきわめて稀な症例を経験したので報告する.