2024 年 53 巻 4 号 p. 203-207
症例は73歳男性である.67歳時に心房性機能性僧帽弁閉鎖不全症に対して右小開胸アプローチによる僧帽弁形成術を施行した.術後軽度の僧帽弁狭窄を認めたが自覚症状はないため経過観察となっていたが,術後7年目に労作時倦怠感を自覚するようになった.僧帽弁平均圧較差は10 mmHgへ上昇し,造影心臓CT検査では人工弁輪周囲にパンヌス過形成の所見を認めた.再手術としてパンヌス切除と人工弁輪の摘出を行い,平均圧較差は3 mmHgへ低下した.術後11日目に自宅退院となり,術後1年が経過しNew York Heart Association functional class Iで外来通院中である.