2024 年 53 巻 5 号 p. 278-282
61歳男性.突然の胸背部痛で前医受診.CTで偽腔開存型のA型急性大動脈解離の診断となった.上行径45 mm,右総頸動脈閉塞,神経学的異常なし.心嚢水なし,AR軽度であった.発症8時間後,当院へ転院搬送された.フィブリノゲン50 mg/dl未満の高度DICにより出血リスクが高かったことに加え,右総頸動脈閉塞は無症候性であったため,内科的DIC治療を先行させた.凝固能は改善傾向となり発症22時間後に手術開始.右総頸動脈は,閉塞部位末梢側の血栓飛散を危惧し結紮.そのうえで上行弓部置換とした.術後止血は良好で,新規神経学的異常は認めなかった.通常,A型急性大動脈解離は緊急手術の適応であるが,今回はDIC治療を先行させた.検索するかぎりこのような症例報告はなく,稀な経験をしたのでここに報告する.