2024 年 53 巻 5 号 p. 290-293
症例は49歳男性.他院で急性大動脈解離Stanford Aに対し上行弓部置換術+Elephant trunkを施行された方.術後8カ月後から血尿と黄疸を認め,溶血性貧血の診断となった.人工血管等による機械的な溶血等が考慮され,当院へ紹介となった.経食道エコーにて中枢側吻合部内のフェルトストリップが翻転し同部位で血液の乱流を認めたため,中枢側吻合部内フェルトストリップによる機械的溶血と診断した.再上行置換術を施行し良好な結果が得られた.急性大動脈解離に対する人工血管置換において,吻合部補強のための内外フェルトストリップの使用は吻合部からの出血の減少・仮性瘤形成を予防するため,一般的な術式となっている.今回,吻合部内のフェルトストリップによる稀な合併症を経験したため報告する.