日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告[大血管]
大動脈弁置換後の基部拡張を合併したA型急性大動脈解離破裂に対する基部上行置換の1救命例
森 久弥髙木 寿人
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電子付録

2024 年 53 巻 5 号 p. 294-298

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抄録

症例は77歳男性.17年前に詳細不明の心臓弁膜症に対して,大動脈弁機械弁置換術を受けた.自動車を運転中に突然の胸部圧迫感を来たした.搬送時には胸部症状は改善していて,血行動態も安定していた.造影CT検査では,大動脈基部の著明な洋梨型拡張(最大径76 mm),上行大動脈の解離・後壁(背側)からの造影剤血管外漏出,左房を圧排する縦隔内血腫を認め,基部拡張を合併したA型急性大動脈解離破裂と診断した.移植機械弁温存緊急基部上行大動脈置換術を行った.当初は低体温循環停止とせず常温大動脈遮断下の手術を目指し,遮断予定部(腕頭動脈分岐部のすぐ中枢側)の上行大動脈を剥離していたところ,背側の破裂部から突然大量出血したが,手指で出血を制御しつつ,手術を継続できた.出血による再開胸を要したが,術後30日現在,退院に向けてリハビリテーション中である.A型急性大動脈解離破裂の致死率はきわめて高く,手術救命例の本邦報告はなかった.

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