日本心臓血管外科学会雑誌
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原著
アンチトロンビンIII欠乏症を伴った開心術に対する治療方針の検討
西村 善幸岩田 昭夫深谷 俊介須田 久雄
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2024 年 53 巻 6 号 p. 313-317

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抄録

[背景]アンチトロンビンIII(AT III)欠乏症は稀な疾患であるが,開心術ではヘパリンを使用するため厳重な周術期管理が必要である.今回われわれは,当科における周術期管理の妥当性について検討した.[対象と方法]2013年9月から2023年12月までに当院で施行した開心術416例のうち,AT III欠乏症は8例(1.92%)だった.先天性AT III欠乏症I型は3例で,II型が5例だった.AT III欠乏に対してAT III製剤を補充する必要があり,参考文献3のように術前はAT III活性を120%以上,術後は80%以上になるように補充した.[結果]すべての症例で,出血や血栓症などの周術期合併症はなく退院した.遠隔期では,透析患者の大動脈弁狭窄症で,生体弁による大動脈弁置換術後約9カ月後に再弁置換術を施行した.病理検査では弁尖の流出側に多量の血栓が生じ劣化が起きたものと考えられ,透析による異所性石灰化ではなかった.[結論]術前はAT III活性を120%以上,術後は80%以上になるように補充することが肝要だった.また,血栓症の既往のある患者は遠隔期も抗凝固薬投与の必要性が示唆された

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