日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告[先天性疾患]
心筋虚血を証明し得なかった右冠動脈起始異常に対し冠動脈移植術を施行した1例
髙橋 昂久春藤 啓介池本 公紀大川 和成髙橋 章之
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2025 年 54 巻 2 号 p. 45-48

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抄録

症例は47歳男性.労作時の意識消失で前医に救急搬送された.頭部MRI,脳波等では異常なく,冠動脈造影検査,冠動脈CTで右冠動脈は右-左冠尖交連上方から起始し大動脈-肺動脈間を走行していた.諸検査で明らかな虚血は示されなかったが,搬入時採血で心筋逸脱酵素の上昇があったため右冠動脈の一過性虚血による失神の可能性が高いと考え,右冠動脈移植術を施行した.経過は良好で症状再燃なく経過観察中である.右冠動脈起始異常は無症状の症例や虚血を証明できない症例が諸家から報告されており,治療方針に一定の見解が得られていない.今回,失神を契機に判明した右冠動脈起始異常に対し冠動脈移植術を行い良好な結果が得られた1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

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