2025 年 54 巻 2 号 p. 78-81
MYH9異常症は巨大血小板を伴う血小板減少および白血球封入体を特徴とする常染色体優性遺伝性疾患である.本疾患は先天性巨大血小板症の中で最も高頻度であり,10万人に1人程度と推測される.今回,MYH9異常症を伴った大動脈弁狭窄症,僧帽弁閉鎖不全症に対して二弁置換術を行い,出血性の合併症や感染症の合併なく施行できた.症例は78歳女性.維持血液透析中であったが,自覚症状は特になかった.胸部X線にて心拡大を指摘され,心エコー検査を施行したところ,大動脈弁狭窄症,僧帽弁閉鎖不全症と診断された.血小板減少に対しては周術期に血小板輸血を行い,手術を施行した.手術時間短縮と出血量減少を目的に僧帽弁に関しては弁形成術ではなく弁置換術を選択し,大動脈弁および僧帽弁の二弁置換術を行った.周術期に出血性の合併症や感染症は認めず,術後経過は良好であった.