2025 年 54 巻 2 号 p. 72-77
症例1:60歳女性,くも膜下出血にて入院加療し,精査にて感染性心内膜炎を認めた.心エコー上四尖弁による中等度大動脈弁閉鎖不全症と卵円孔開存症を認め、手術となった。術中所見では右冠尖と無冠尖の間に副冠尖をもつ四尖弁だった。自己心膜を用いて三尖弁化し大動脈再建術(Ozaki手術)と卵円孔直接閉鎖術を行った.症例2:54歳男性,労作時呼吸苦を認め,心エコーにて四尖弁による重症大動脈弁閉鎖不全症を認め,手術施行した.術中所見では左冠尖が最も大きく,他の三尖はほぼ均等な四尖弁であり,自己心膜を用いて三尖弁化しOzaki手術を行った.稀な大動脈四尖弁に対し自己心膜を用いた大動脈再建術が奏功した2例を経験した.三尖弁化することで生理的で良好な血行動態が得られることからも先天的な大動脈弁異常に対して良い適応と考える.