2026 年 55 巻 4 号 p. 154-158
72歳女性.労作時息切れを主訴に近医を受診し,軽度の心嚢液貯留を指摘されたが原因は特定されず経過観察となった.その後,旅行先で心タンポナーデを発症し心嚢穿刺を施行された.退院後にうっ血性心不全を再発し,心膜肥厚を指摘されたため当院紹介となった.心エコーおよびCT検査で収縮性心膜炎と診断し,18[F]FDG-PET/CT検査では肥厚した心膜にSUVmax 7.12の集積を認めた.収縮性心膜炎に対して心膜切除術を施行したが,癒着がきわめて高度であったため,心膜切除が困難な部位には格子状切開を施行した.術後経過は良好であったが,病理検査にて原発性悪性心膜中皮腫と診断された.退院後早期から化学療法を行ったが,術後170日目に収縮性心膜炎が再燃し,術後253日目に死亡した.原発性悪性心膜中皮腫はきわめて稀で,予後不良な疾患である.原因不明の心嚢液貯留や心膜肥厚を認めた際には本疾患を鑑別にあげ,早期診断とより早期から集学的治療を検討する必要がある.今回われわれは,収縮性心膜炎に対する外科的治療後に原発性悪性心膜中皮腫の診断に至った1例を経験したため報告する.