2026 年 55 巻 4 号 p. 159-163
症例1:61歳男性,多発性脳梗塞で入院後,側壁の亜急性心筋梗塞で側壁の菲薄化,少量の心内壁在血栓を認め心原性塞栓と診断された.身体リハビリし,入院後33日目に退院した.退院後8日目に肺水腫を伴う急性左心不全のため緊急入院した.造影CTにて左室側壁から心尖部にかけて628 mlの巨大仮性左室瘤を認め,左室との交通口は3.5 cmであった.破裂の防止,ポンプ機能の改善のため緊急手術を行った.瘤壁は心外膜であり,心膜と強固に癒着していた.交通口は2.5×5.0 cmで前乳頭筋は正常で心内血栓を認めなかった.交通口のパッチ閉鎖を行い,順調に経過し術後28日目に退院した.術後3年で心機能も良好に維持されている.症例2:86歳男性,慢性心房細動,機能性僧帽弁逆流にて循環器内科へ通院していたが,入退院を繰り返すようになり,III度の僧帽弁逆流,三尖弁逆流,60 mmHgの二次性肺高血圧に対して手術を行った.僧帽弁輪形成,三尖弁輪形成,後尖cleft閉鎖を行ったが,退院前の経胸壁心エコーにて前乳頭筋と僧帽弁輪の間に1.4×2.0 cmの仮性左室瘤を認め,左室との交通口は2 mmであった.造影CTでは心外膜の膨隆を認め,仮性左室瘤と診断した.術中,高齢者の心不全心の脆弱な心筋への無意識な吸引管の接触による心筋損傷が原因と推定した.高齢で交通口も小さいため経過観察とし,その後も瘤の拡大を認めなかった.3年後には瘤内は血栓化し,瘤内への流入血流を認めなかった.仮性左室瘤は瘤壁が薄く破裂しやすいため手術適応とされる場合が多いが,臨床症状,仮性瘤・交通口のサイズを考慮し手術適応を決定すべき妥当性が示唆された.