左室流出路仮性動脈瘤(LVOTP)は稀な疾患だが,致死的となりうる疾患で,留意する必要がある.今回,われわれは大動脈弁置換術時に偶発的に発見され,心内腔シャントの合併により再手術を要したLVOTPの症例を経験したので報告する.症例は70歳の女性で,1年前に持続的な高熱と呼吸苦にて長期間の抗生剤加療を要した入院加療の既往があった.以降,労作時呼吸苦が持続するため精査を行ったところ,重度大動脈弁狭窄症ならびに閉鎖不全を認め,手術加療となった.術中,大動脈弁無冠尖弁輪部に約12 mmにわたる裂開孔を認め,同部位から連続する仮性動脈瘤を認めた.術前に同定できていなかったLVOTPと判断し,交通孔をウシ心膜パッチで閉鎖した後,大動脈弁置換術を行った.術後経過は良好だったが,術後の造影CT検査にて径15 mm大のLVOTPへ造影剤の流入が残存しており,術中に認めた交通孔とは別に大動脈弁下左室流出路に径2 mm大の交通孔が残存していた.そのため,再手術を施行し,人工弁を取り外した後に左室流出路の交通孔をウシ心膜パッチで閉鎖し,再弁置換術を行った.術後経過は良好で,術14日目に軽快退院となった.退院前の造影CT検査では,LVOTPへの造影剤の流入は消失し,現在,術後3年経過しているが,LVOTPは消退し,再燃なく経過している.本症例のLVOTPの発症原因として,1年前に発症した弁輪部膿瘍ならびに心内腔シャントを合併した感染性心内膜炎が要因となった可能性が推測された.