抄録
Cervical aortic archはまれな大動脈奇形であり,現在まで約70例の報告があるにすぎない.外科治療の適応としては気管・食道の圧迫症状,大動脈kinking,大動脈瘤,合併心奇形があげられるが,大動脈瘤合併に対する手術の報告は7例のみである.42歳,女性の大動脈瘤を伴ったleft cervical aortic arch症例に対し,部分体外循環下に動脈瘤切除と人工血管置換術を行った.病理組織学的検索ではatherosclerosisが認められたほかに,動脈瘤壁は菲薄であり内膜の欠損,中膜の萎縮も認められることより早期の手術適応の必要性が示唆された.