症例は49歳の男性,低左室機能(EF=29%)を有する冠動脈三枝病変例であり,1988年8月,4枝バイパスによる冠血行再建術を施行した.術後,体外循環(ECC)離脱困難となり,遠心ポンプ(CFP)を用いた左心バイパス(LHB)に大動脈内バルーンパンピング(IABP)を併用した補助循環によりECCより離脱した.その後,徐々に自己心の機能は改善し,86時間後にLHBより離脱しえた.さらに,第9病日にIABPを抜去しえ,術後4か月にて退院した.術後12か月の現在,狭心痛の出現はなく,社会復帰している.CFPを用いたLHBにIABPを併用した補助循環は,set upの容易さを考慮すると,ECC離脱困難例に対する有用な方法の一つであると考えられる.