日本心臓血管外科学会雑誌
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体外循環離脱困難に対し遠心ポンプを用いた左心バイパスにより救命しえた一例
今川 弘小林 亨吉野 孝司筆本 由幸佐藤 尚司松田 暉松若 良介川田 博昭澤 芳樹高見 宏西村 元延
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1990 年 20 巻 2 号 p. 230-235

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抄録

症例は49歳の男性,低左室機能(EF=29%)を有する冠動脈三枝病変例であり,1988年8月,4枝バイパスによる冠血行再建術を施行した.術後,体外循環(ECC)離脱困難となり,遠心ポンプ(CFP)を用いた左心バイパス(LHB)に大動脈内バルーンパンピング(IABP)を併用した補助循環によりECCより離脱した.その後,徐々に自己心の機能は改善し,86時間後にLHBより離脱しえた.さらに,第9病日にIABPを抜去しえ,術後4か月にて退院した.術後12か月の現在,狭心痛の出現はなく,社会復帰している.CFPを用いたLHBにIABPを併用した補助循環は,set upの容易さを考慮すると,ECC離脱困難例に対する有用な方法の一つであると考えられる.

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