日本心臓血管外科学会雑誌
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直視下血行再建術を行ったBudd-Chiari症候群の一治験例
高橋 章之白方 秀二丹生 智史神吉 豊和田 行雄大賀 興一岡 隆宏
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1991 年 20 巻 7 号 p. 1294-1298

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抄録
Budd-Chiari症候群に対し,従来よりさまざまな外科的治療が検討され報告されてきた.その治療予後を決定する大きな因子は,術中の肝庇護であり,比較的侵襲の少ない非直視下の血行再建術が行われることが多い.しかし,肝静脈および下大静脈にしばしば血栓を伴っている場合があり,この際非直視下で手術を行うと遊離血栓による肺梗塞を生じる危険があるため,直視下血行再建術のほうがより安全である.今回,膜様閉塞の本症で肝部下大静脈から腎静脈におよぶ血栓形成を伴った一例に対し,リング付きGore-Tex graftパッチを用い,肝右葉を脱転して直視下血行再建術を行い,良好な結果を得たので報告する.
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