日本心臓血管外科学会雑誌
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高度左室機能不全と左室拡大を示し虚血性心筋症の病像を呈した症例に対するA-Cバイパス術の1例
秋山 一也安西 信行
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1991 年 20 巻 7 号 p. 1303-1308

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抄録
虚血性心疾患の終末像ともいえる虚血性心筋症は,慢性的うっ血性心不全を呈し,内科的治療では予後不良である.本症は特発性あるいは他の二次性心筋症とは異なり外科治療の可能性を秘めている.したがって,その発生前の早期診断,早期治療の重要性はいうまでもないが,正確な診断と手術適応の決定は予後に大きな影響をもたらす.われわれは68歳男性でNYHA IV度の重症左心機能低下例で虚血性心筋症としての病像を呈した症例に対してA-Cバイパス術を行い,臨床症状の著明な改善を得た.術前の左室拡張末期圧は30mmHg,左室拡張末期容量は281.8cc/m2,左室駆出率は13.1%であった.虚血性心筋症においては心筋のviabilityのある有意冠動脈病変には積極的な血行再建術を行うべきである.
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