日本心臓血管外科学会雑誌
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左冠動脈主幹部単独狭窄病変に対するパッチ拡大術の経験
Anterior approachとlateral approach
高山 鉄郎須磨 久善鰐渕 康彦寺田 康齊藤 力福田 幸人古田 昭一
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1991 年 20 巻 9 号 p. 1515-1518

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抄録
3例の左冠動脈主幹部単独狭窄症例に対して大伏在静脈による同部のパッチ拡大術を行った.症例1, 3は狭窄が左冠動脈入口部より始まり左冠動脈主幹部の近位側部分にあるため大動脈と主肺動脈の間を剥離,左冠動脈主幹部を露出確認,上行大動脈左側壁より左冠動脈主幹部前壁を切開,大伏在静脈パッチを連続縫合にて縫着した.一方,症例2では狭窄が左冠動脈主幹部の遠位部分に限局していたため心臓を脱転主肺動脈の外側部より左心耳の手前で左冠動脈主幹部を露出,同部のみの切開でパッチ拡大を行った.左冠動脈主幹部の露出剥離には超音波キューサーが出血も少なく有効であり,また術野が深いため無血野の確保のためには左房左室ベントが不可欠であった.なお左冠動脈に著しい石灰化を認める場合にはパッチ縫着部の止血が困難であり,この手術方法の適応から除外すべきと考えられた.3例とも術後の造影では良好な狭窄部分の拡大が認められており,今後とも適応を限って選択すべき術式と考えられた。
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