1992 年 21 巻 1 号 p. 17-23
著者らは, 1981年11月より1990年12月までに非破裂性56例, 破裂性21例の計77例に手術を施行した. 非破裂性では手術死亡, 病院死亡はみられないが, 破裂性では4例 (19%) が手術死した. 手術成績向上のため, 手技の改良を図りあわせて出血量の減少に努めた. 大動脈瘤頸部の剥離は最小限とし, 中枢側・末梢側ともテープは通さず血管鉗子を装着した. 動脈瘤中枢側吻合は内挿法を用い, 末梢側は総腸骨動脈が多少瘤状に拡大していても総腸骨動脈分岐部内腔より縫合閉鎖し, 人工血管のY脚はそれぞれ外腸骨動脈に端側吻合する方法を標準術式としてきた. 術後造影にて, 中枢・末梢とも吻合部動脈瘤は認めず, 空置した総腸骨動脈瘤は血栓化による縮小化がみられた. 破裂性においても非破裂性と同様の手技を用いてきた. これらの術式の工夫により出血量は減少し, 非破裂性56例中, 無輸血手術は25例 (45%) となった. Kaplan-Meier 法による累積生存率は, 5年生存率よりみると非破裂性が87%, 破裂性が49%であり, 非破裂性の方が良好であった.