日本心臓血管外科学会雑誌
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急性動脈閉塞症における腎臓および動脈の光顕的, 電顕的所見
四万村 三恵
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1992 年 21 巻 1 号 p. 24-34

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抄録

急性動脈閉塞症をCPK値をパラメーターにして軽症から重症に分類し, おのおのの腎臓の糸球体基底膜と動脈, とくに虚血部である大腿動脈と非虚血部である頸動脈の病理組織学的変化を検討した. 雑種成犬23頭の腎動脈下腹部大動脈を結紮し, 急性動脈閉塞犬を作成した. 24時間後に血流を再開し, 血流再開後180分の腎臓および大腿動脈と頸動脈の光顕ならびに電顕所見を検索した. 腎臓の変化として糸球体基底膜の肥厚に着目し, その肥厚度はCPK値の上昇に伴い高度になる傾向を認めた. とくにCPK値70,000IU/l以上では病理組織学的変化は顕著であった. 動脈では内皮細胞の変性や消失とそれに伴う中膜変性を認めた. これらの変化は虚血部のみならず非虚血部においても同様に認められた. この腎臓および血管の所見より, 急性動脈閉塞症が早期より, またすでに軽症においても全身的変化がおよんでいることを示唆した.

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