1992 年 21 巻 1 号 p. 35-40
内科的に治療困難なRDS合併の24例を含む未熟児PDA 36例に対してPDA結紮術を施行し, 手術死亡を10例認めた (死亡原因が直接手術に起因するものはない). 残りの耐術26例を対象に, その遠隔成績を調査するとともに, 用紙あるいは電話によるアンケート予後調査を加え, 未熟児PDA結紮術の妥当性について検討した. 遠隔期死亡はBPDに起因する肺性心による1例 (術後2年4か月後死亡) のみであり, 脳性小児麻痺, 精神発達遅滞の合併を1例認めるものの, 耐術例の生存率は96.2%と良好であった. 幼小児期に上気道感染症を繰り返す頻度が多く認められ, また視力障害, 斜視の合併が多いが, 身体, 精神発育もほぼ良好で, 通常の健康児と同様の学校生活が可能であった. 以上より, BPD合併が遠隔期生命の予後を左右することが示唆されるが, 手術成績ならびに遠隔期成績がほぼ満足しうるものであることより, 未熟児に対するPDA結紮術の妥当性が示された.