摘出拍動心を用い細胞外電位記録法にて20℃, 60分間の単純遮断における心筋の活動電位を測定した. さらに, Ca2+拮抗剤 (diltiazem) を St. Thomas 液に添加 (Ia群: 0μg/ml, Ib群: 1μg/ml, Ic群: 5μg/ml, Id群: 10μg/ml) し, 心筋収縮とCa2+の電気的動向について検討した. 20℃, 60分間の単純遮断では, 再灌流後再分極時に振幅の50%までに要する時間 (MAPD50) の延長によりCa2+の細胞内異常流入が推測されたが, diltiazem を添加することでCa2+の異常流入は抑制された.また, Ic群, Id群では, 心筋収縮力, 刺激伝導抑制作用が強く, MAPD50, 心拍数, 大動脈流量の回復は遅延した. しかし, Ib群の心拍数, 大動脈流量の回復はIa群とほぼ同等であり, MAPD50が短縮されることから1μg/mlの濃度でもCa2+の細胞内異常流入による心筋障害を予防しうると考えられた.