日本心臓血管外科学会雑誌
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体外循環中における動脈血中ケトン体比測定の意義
主に肝血流量の面から
竹内 功福井 康三小山 浩一沢田 光広高橋 昌一山田 芳嗣小野 裕逸岩淵 知首藤 邦昭鈴木 宗平鯉江 久昭
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1992 年 21 巻 2 号 p. 141-148

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抄録

近年動脈血中ケトン体比 (AKBR) は, 新しい, 肝の viability の指標として注目されている. われわれは開心術症例14例で, AKBRを測定した. 完全体外循環時間が, 180分を越える症例ではAKBRの回復が悪く, 術後の生化学検査値の異常, なかでもトランスアミナーゼ値, 血小板数, プロトロンビン時間に顕著であった. さらに実験的に, 体外循環中の肝血流量とAKBRの関連について検討した. 体外循環中の冠動脈, 門脈血流は著明に低下したが, 体外循環の離脱に伴い血流は次第に回復した. しかし, 体外循環により低下した肝組織血流は体外循環終了後も十分に改善せず, AKBRの変化とよく相関した. このことからAKBRは肝の微小循環血液量に影響されることがわかった. そこで, 実験的に拍動流体外循環を行い, 肝微小循環への効果について検討した. 拍動群は, 定常流群に比べ冠動脈, 門脈血流, 組織血流のいずれも良好に保たれ, 体外循環終了後の組織血流, AKBRの改善も良好であった.

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