日本心臓血管外科学会雑誌
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感染性心内膜炎の外科治療
活動期における手術を中心に
青柳 成明田中 攻平野 顕夫安永 弘押領司 篤茂原 洋小須賀 健一大石 喜六
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1992 年 21 巻 2 号 p. 181-185

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抄録

最近の15年間に教室で外科治療を行った感染性心内膜炎 (IE) 67例中感染の活動期に手術を行った25例を対象として手術成績を検討した. 年齢は8~73歳, 男18例, 女7例で, このうち20例は自己弁のIE (NVE), 5例は人工弁置換後のIE (PVE) であった. 手術成績はNVEでは3例 (15%), PVEでは2例 (40.0%) に病院死を認めた. NVE 20例では手術予後に関係する因子は術前のNYHA分類の重症度と弁輪部膿瘍の存在で, 年齢, 術前の腎機能, 血液培養陽性, 罹患弁位, あるいは切除弁における起炎菌の存在は手術成績とは相関を示さなかった. すなわち, 心機能が高度に低下する以前に, そして感染が周囲組織へ波及する以前に弁置換を行うことが手術成績の向上にはきわめて重要と考えられた. 手術手枝では, 病巣の徹底的な郭清と弁輪の再建が重要で, valve translocation 法はNVE, PVEのいずれにおいても高い根治性が期待された.

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