日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
Björk-Shiley 弁置換後の血栓弁に対する治療経験
高原 善治須藤 義夫村山 博和大音 俊明仲田 勲生瀬崎 登志彰中村 常太郎
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 21 巻 5 号 p. 438-442

詳細
抄録

Björk-Shiley spherical 弁置換後の血栓弁10例の臨床的検討を行った. 1975年~1989年に使用したのは, 大動脈弁位98個, 僧帽弁位133個, 合計231個である. これらの血栓弁の合併率は大動脈弁 (A) 位0.69%/患者・年, 僧帽弁 (M) 位1.2%/患者・年, 合計0.95%/患者・年であった. 10例中A弁位4例, M弁位6例であった. 初回手術からの期間は7か月~15年であった. 血栓弁の誘因としてはワーファリンコントロール不良がA弁位3例, M弁位4例に認められた. 初発症状は呼吸困難3例, 血栓塞栓症4例, 心音異常3例であり, 確定診断には cineradiography が初期の1例およびショックの2例を除いた7例に行われ, 最も有効であった. 治療としては8例に緊急もしくは準緊急手術を行い6例を救命し14年~3か月の遠隔で経過良好である. 一方ウロキナーゼ療法は2例に行い1例は無効, 残り1例は脳合併症にて失った. 今後は外科的治療を第一選択としていく方針である.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top