日本心臓血管外科学会雑誌
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巨大嚢状動脈瘤を合併した両側冠動脈肺動脈瘻の1手術例
中山 義博真方 紳一郎夏秋 正文伊藤 翼山田 隆啓
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1992 年 21 巻 6 号 p. 600-604

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抄録
冠動脈造影法の普及により冠動脈瘻と遭遇する機会が増加しているが, これに冠動脈瘤を合併することはきわめてまれであり, われわれが調べえた範囲では過去20例の報告しかない. 今同われわれは, 嚢状動脈瘤を伴う両側冠動脈肺動脈瘻症例に対して, 完全体外循環下に瘻孔閉鎖および動脈瘤縫縮を施行し, 良好な結果を得た症例を経験したので報告する. 症例は68歳女性で, 胸部圧迫感と労作時呼吸困難を主訴に入院した. 前胸部に連続性雑音を聴取し, 冠動脈造影にて右冠動脈と左冠動脈前下行枝に流出血管を有し, 肺動脈主幹部に流入する冠動脈瘻と診断した. 嚢状動脈瘤を伴っていることに加え, 左-右シャント率が60%と多く, 労作時呼吸困難を伴っていることより手術適応と判断し手術を施行した. 術後の病理組織所見より, 冠動脈瘤壁は非常に詭弱であり, 破裂の危険性が高く積極的に手術治療を行うべきであると考えられた.
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