日本心臓血管外科学会雑誌
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Prostaglandin E1が有効であった blue toe syndrome の2例
林 載鳳浜中 喜晴末田 泰二郎渡橋 和政呑村 孝之森田 悟香河 哲也松浦 雄一郎
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1993 年 22 巻 1 号 p. 36-40

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抄録

Prostaglandin E1 (PGE1) が有効であった blue toe syndrome を2例経験した. 症例1は80歳の男性で, 左足第5趾の疼痛と潰瘍病変を訴えて受診した. 血管造影にて大動脈, 腸骨動脈の拡張性病変からの微小塞栓子が原因と推測された. Lipo PGE1を10μg/日×30日使用し, 傷は治癒した. 症例2は54歳の男性で, 左手第3, 4指の疼痛と皮膚色調変化を訴えて受診した. 経胸壁心エコーでは血栓の存在は明らかでなかったが, 経食道心エコーにて左心耳内の血栓が確認された. PGE1を60μg/日×20日使用し, 病変の軽快をみた. Blue toe syndrome は末梢小動脈の微小塞栓症であり, これまで線溶剤, 抗凝固剤が治療に用いられてきた. 今回, われわれはこれまで報告されていない新たな試みとしてPGE1製剤を, 側副血行路の血管拡張作用と血小板凝集抑制作用による二次血栓予防の目的で使用し, 良好な成績が得られた.

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