日本心臓血管外科学会雑誌
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開心術におけるh-SODの心筋保護効果
投与方法についての実験的検討
山本 典良池田 英二竹尾 正彦中山 頼和妹尾 嘉昌寺本 滋
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1993 年 22 巻 1 号 p. 30-35

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抄録

心筋の再灌流障害に対するh-SODの効果を投与方法の差異により比較検討した. 雑種成犬24頭を用い, 完全体外循環下に120分の大動脈遮断とその後60分の再灌流を行った. h-SODの投与法で3群-局所投与L群, 全身投与G群, 非投与C群-に分けた. 大動脈遮断解除後5分の過酸化脂質の冠動静脈較差はL群-0.029±0.11nmol/ml, G群0.025±0.04, C群-0.28±0.22で, 心機能は遮断解除60分後の値と体外循環前値の比で検討すると, 心拍出量はL群1.03±0.17, G群0.96±0.19, C群0.53±0.08, LV max dp/dtはL群0.87±0.20, G群0.82±0.07, C群0.55±0.17, で, 遮断解除60分後の心筋水分含有量はL群79.86±0.62%, G群80.37±1.17, C群81.82±0.63, となり, それぞれC群に対してL群G群で有意に良好であった. 以上より, h-SOD全身投与法はより簡便な方法であり, 局所投与と同様に再灌流後の過酸化脂質の産生が抑制され浮腫も軽減し心機能回復も良好であった.

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