日本心臓血管外科学会雑誌
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壁在血栓により総肝動脈閉塞をきたした胸腹部大動脈瘤の1例
金岡 祐司杭ノ瀬 昌彦種本 和雄
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1993 年 22 巻 1 号 p. 68-72

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抄録

1981年から1990年までに5例の胸腹部大動脈瘤 (TAA) 手術を施行した. 今回, 壁在血栓により総肝動脈閉塞をきたし, 腹部アンギーナ発作を伴ったTAAを経験した. 症例は, 58歳男性で約半年間不定の腹痛を繰り返し, 一過性に肝酵素の上昇を認めた. 血管造影等により総肝動脈閉塞をきたした胸腹部大動脈瘤と診断し, 遠心ポンプを用いた部分左心バイパス下に人工血管置換術を施行した. 総肝動脈, 上腸間膜動脈は Crawford 法にて再建した. 腹部アンギーナは比較的稀な疾患であるがTAAがその原因となっているものは非常にまれである. 手術に際しては完全に血行を再建する必要はないといわれており, 術前血管造影による正確な血流分布の把握が必要である.

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