日本心臓血管外科学会雑誌
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「炎症性」腹部大動脈瘤術後に生じた大動脈-腸管瘻の1治験例
木川 幾太郎鰐渕 康彦村田 聖一郎穴見 洋一紙尾 均堀井 泰浩九沢 豊福田 幸人須磨 久善
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1993 年 22 巻 5 号 p. 417-421

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抄録
症例は59歳の男性.「炎症性」腹部大動脈瘤の切迫破裂に対して人工血管置換術を行い2年経過した後, 繰り返す下血を主訴として来院. 大動脈-十二指腸瘻と診断し手術を施行した. 非解剖学的バイパスを作成後に開腹すると, 腎動脈下に大動脈瘤の再発を認め, 人工血管近位吻合部に十二指腸水平脚が癒着し瘻孔を形成していた. 十二指腸瘻の閉鎖と人工血管摘除および腹部大動脈断端閉鎖を行い良好な結果を得た.「炎症性」腹部大動脈瘤術後に生じた大動脈-腸管瘻の報告はほとんどなくまれなものと考えられた.「炎症性」大動脈瘤術後の本合併症に対しては, in situ での血管吻合は癒着のため困難が予想されることから, 非解剖学的バイパス法を採用するのがより安全と考えられた.
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