日本心臓血管外科学会雑誌
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生後14日目に直視下交連切開術を行い救命した先天性大動脈弁狭窄症の1例
平松 祐司厚美 直孝阿部 正一軸屋 智昭榊原 謙筒井 達夫岡村 健二三井 利夫堀 原一
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1993 年 22 巻 5 号 p. 437-440

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抄録
症例は生後13日目に心雑音, 頻脈, 多呼吸, 哺乳力低下を主訴として入院した男児である. 胸部X線で心拡大と肺うっ血像を認めた. 心エコーで大動脈弁の肥厚と狭窄を認め, 左室駆出率 (EF) は10%と著しく低下し, ドップラー法による左室-大動脈間推定圧較差は130mmHgであった. 内科的治療による状態改善は望めないと判断し, 生後14日目に体外循環下に直視下大動脈弁交連切開術を行った. 大動脈弁は二尖弁で, 両交連部に強い癒合を認め, 左側の交連に1mm, 右側の交連に0.5mmの切開を加えて狭窄解除を図った. 術後経過は良好で心エコーでは62mmHgの左室-大動脈間圧較差の残存を認めたものの, EFは57%と著明に改善した. 新生児期における先天性大動脈弁狭窄症の手術報告例は少なく, 著者らが調べえた範囲内では, 本症例は本邦で3番目の年少手術成功例に相当する.
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