抄録
円柱列の存在は流れに大きな抵抗を及ぼす(土木学会論文集B1 71(4) I_1057 2015).円柱列は巨視的には間隙を有する平板境界であり,透過性と粗度の効果を併せ持つ.本研究では円柱列から透過性を除いた系である半円粗度を過ぎる流れを検討対象に加え,抵抗要素としての透過性と粗度の影響を2次元数値実験によって調べた.円柱列は半円粗度と比べて1桁高い抵抗を及ぼす,つまり境界の透過性は境界粗度よりもはるかに強い抵抗要因となることが示された.ただし円柱列と半円粗度では抵抗が最大となる境界間隙率の値が異なり,抵抗に対する粗度の寄与は間隙率の増加とともに増す傾向がある.円柱列を過ぎる流れでより大きな抵抗が生じる主因として,円柱間隙を通して流体の往来が可能なことで,流体混合とそれに伴う運動量交換が活性化されることが示された.