日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
Cabrol 手術を施行した不全型 Marfan 症候群合併大動脈炎症候群の1例
乾 清重折田 博之内田 徹郎塩野 知志鷲尾 正彦島貫 隆夫中村 千春
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 23 巻 3 号 p. 212-216

詳細
抄録

急性大動脈弁閉鎖不全による心不全を発症した不全型 Marfan 症候群合併大動脈炎症候群の25歳女性に対し準緊急的に Cabrol 手術を行い良好な結果を得た. 遺伝歴, 眼病変を認めなかったが, 筋骨格系異常および annulo aortic ectasia (AAE)不全型 Marfan 症候群が疑われた. しかし大動脈基部は不整形を示し, 大動脈炎に伴う大動脈弁閉鎖不全, 大動脈拡張も疑われた. 病理学的には, 大動脈内膜肥厚, 中膜弾性線維の断裂消失・嚢胞形成, 外膜栄養血管の内膜肥厚, 皮膚弾性線維の断裂消失が認められ, 結合織疾患に大動脈炎症候群を合併した病態が示唆された. 両者を合併したものはきわめて珍しく, 手術術式の考察と併せて報告する.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top