1994 年 23 巻 3 号 p. 209-211
症例は53歳の男性. 背部痛にて発症し, 諸検査にて DeBakey IIIb型解離性大動脈瘤と診断された. 右腎動脈が偽腔から分岐し, 右腸骨動脈と左腎動脈の血流障害を伴っていた. 偽腔分枝救済のため, まず腎上部での intimal flap 切離術+腎下部腹部大動脈Yグラフト置換術を施行した. ついで2期的に胸部下行大動脈を人工血管に置換した. この方法により, 偽腔の血栓性閉塞を図ると同時に, 偽腔分枝への血流を保持するという相反する条件をともに満たすことができたので症例報告した.