日本心臓血管外科学会雑誌
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腎動脈下腹部大動脈瘤手術における大動脈遮断時間からみた循環動態および chemical mediator の変動
久我 貴之秋山 紀雄古谷 彰吉村 耕一竹中 博昭秋本 文一河内 康博藤岡 顕太郎江里 健輔
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1994 年 23 巻 4 号 p. 246-250

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抄録
大動脈遮断を要する腎動脈下腹部大動脈瘤12例を対象に, 遮断および遮断解除前後に循環動態および各血液 chemical mediator を測定し, 遮断時間1時間未満例と以上例とに分け, その変動について検討した. 平均肺動脈圧比 (術前値で除した値) は遮断直後で以上群0.83±0.06で, 未満群の0.99±0.08と比較して有意に低値であった (p<0.01). 心拍出量および肺内水分量では両群間に有意差はなかった. 顆粒球エラスターゼ比は解除直後が以上群2.24±0.81で, 未満群1.19±0.45, 解除後1時間が以上群4.73±2.01で, 未満群2.06±0.80, 解除後4時間が以上群4.36±1.79で, 未満群1.27±0.49と比較してそれぞれ有意に高値であった (p<0.05). SOD比は解除後1時間が以上群0.78±0.13で, 未満群1.01±0.11と比較して有意に低値であった (p<0.05). 尿中N-acetyl-β-D-glucosaminidase 比は解除直後が以上群1.31±0.38で, 未満群0.74±0.07と比較して有意に高値であった (p<0.01). 腎動脈下腹部大動脈瘤手術において, 大動脈遮断時間が1時間をこえる症例ではタンパク分解酵素上昇およびラジカル消去剤低下がみられ, 術後の臓器の組織障害に留意すべきである.
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