1994 年 23 巻 6 号 p. 437-440
感染性腹部大動脈瘤破裂の1手術例を経験したので報告する. 症例は64歳男性で, 発熱, 腹痛を主訴に近医へ入院中であったが, 急激に進行する貧血のため当院紹介となった. 腹部CT, 腹部大動脈造影検査にて腹部大動脈瘤破裂の診断を下し, 緊急に腹部大動脈人工血管置換術を施行した. 術中に採取した後腹膜腔浸出液より Salmonella choleraesuis が検出され感染性腹部大動脈瘤破裂と診断した. 感染に由来する腹部大動脈瘤は頻度が少なく, また治療成績も不良である. 同破裂症例の救命例は稀と思われたので, 文献的考察を加え報告した.