日本心臓血管外科学会雑誌
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St. Jude Medical 弁を用いた小児期僧帽弁置換術後の一葉血栓弁に対する血栓溶解療法の経験
今井 雅尚山口 眞弘大橋 秀隆大嶋 義博熊本 隆之尾崎 喜就三戸 壽鄭 輝男黒江 兼司
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1995 年 24 巻 2 号 p. 125-129

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抄録

St. Jude Medical (SJM) 弁を用いた小児期僧帽弁置換後に一葉血栓弁をきたした2例を経験し, ウロキナーゼを用いた血栓溶解療法により良好な結果を得た. 症例1: 2歳11か月, 女児, CAVC根治後のMRに対してMVR (SJM25mm) を施行. 術後1か月, 2か月, 3か月時にそれぞれ一葉血栓弁が判明し, ウロキナーゼ投与でその都度血栓弁の動きは良好となった. 症例2: 1歳5か月, 女児, VSD, MR, PHに対し, VSDパッチ閉鎖, MVR (SJM23mm) を施行した. 術後11日目, 一葉血栓弁が判明し, 同療法で血栓弁の動きは良好となった. 本例では一葉血栓弁発生前の左心機能は極めて悪かった. なお, 症例1, 2において同療法施行後, 3年7か月, 1年を経過し一葉血栓弁の再発をみていない. 以上から, 一葉血栓弁に対する血栓溶解療法は幼小児例においても有効で, また繰り返し行えることから, 試みるべき治療法であり, 術後の低左心機能は一葉血栓弁発生の要因となることが示唆された.

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