抄録
1980年から1993年の期間に大腿膝窩動脈領域の閉塞性動脈硬化症に対して人工血管バイパス手術を施行し, 長期追跡が可能であった122例 (追跡率96.7%, 平均追跡期間45.1月) 159肢について長期遠隔成績を検討した. 手術時平均年齢69.1歳, 手術死亡率0.8%であった. 全症例のグラフト10年開存率75.1%であった. 開存率に影響を及ぼす因子として1) run off 不良 (p<0.01, run off 不良群5年開存率55.8%), 2) 術後トロンボテストコントロール不良 (p<0.01, 5年開存率61.7%), 3) 高コレステロール血症 (p<0.05, 5年開存率63.9%) の3因子を認めた. 良好な長期開存性と術後自覚症状の著明な改善を認めたことから間欠性跛行肢に対しても積極的早期外科治療が推奨される. またワーファリン投与を含む外来フォローでの慎重な管理が今後の課題であると思われた.