日本心臓血管外科学会雑誌
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肺高血圧からみた高齢者 (50歳以上) 心房中隔欠損症の検討
長谷川 豊石川 進大滝 章男高橋 徹市川 秀昭佐藤 泰史小谷野 哲也鈴木 政夫高尾 昌明森下 靖雄
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1996 年 25 巻 5 号 p. 285-289

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抄録
50歳以上の心房中隔欠損症 (ASD) 38例を術前の肺動脈収縮期圧 (PAP) により3群にわけて肺高血圧の程度と臨床症状, 術前後の血行動態および遠隔成績について比較検討した. 術前状態ではPAPの上昇に伴い, Pp/Ps, Rp/Rsは高値を示し, 心胸郭比の拡大, PaO2の低下, 心房細動の合併, NYHA II度以上の心不全も高率にみられた. 左-右短絡率・Qp/Qsと肺動脈圧との間には相関がなかった. PAP 50mmHg以上の肺高血圧症例は8例 (21%) であったが, いずれもPAPは70mmHg以下であり, Rp/Rsも0.30以下で, 肺高血圧および肺血管閉塞性病変の進行は高度ではなかった. 術後はPAP・Rp/Rsは全群で低下しており, 心拡大・心不全症状も改善した. 高齢者ASDに伴う肺高血圧は high flow による場合が多く, ASDの閉鎖により症状の改善が期待できるため積極的な手術が望まれる.
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