日本心臓血管外科学会雑誌
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MVR後遠隔期に著明な両心室腔狭小化をきたしたHOCMの1例
野地 智北村 信夫山口 明満三木 太一春藤 啓介木村 俊一
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1996 年 25 巻 5 号 p. 314-317

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抄録
症例は37歳女性. 初回手術時 (14年前), 僧帽弁閉鎖不全を合併した特発性肥厚性大動脈弁下狭窄症 (IHSS) と診断され, 生体弁による僧帽弁置換術が施行され, 術後経過は良好であった. 術後10年目より徐々に三尖弁閉鎖不全 (TR) に伴う右心不全が出現した. さらに術後14年目には, 心室中隔肥厚による両心室腔の狭小化とTRが原因となり両心不全に陥ったため再手術 (僧帽弁および三尖弁置換術) を施行した. 手術所見では心臓全体は極度に変形し, 両心室腔は狭小化していた. 術後右心不全の遷延から多臓器不全を併発し, 術後47日目に失った. 剖検所見では心室中隔の著明な肥厚(24mm) を認めた. 本症例では術後10年以降から心室中隔肥厚が再度進行しており, HOCMに対する僧帽弁置換術をはじめとする種々の術式の適応を今一度考え直させる興味深い症例と考えられた.
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