日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
血腫を伴った限局性収縮性心膜炎の1例
石黒 真吾黒田 弘明原 陽一芦田 泰之井上 明彦森 透
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 25 巻 5 号 p. 318-320

詳細
抄録

症例は前胸部外傷の既往のある54歳男性で, 心不全にて精査したところ, 心前面から下面の辺縁に石灰化を伴う腫瘤陰影が認められ, 右室圧波形は dip and plateau を示した. 開胸すると心嚢膜と心外膜が肥厚石灰化し, その間隙に器質化血腫が充満していた. 体外循環下には心膜部分切除と血腫除去を行い, 心不全は軽快した. 外傷後血腫による圧迫と限局性の収縮性心膜炎により右心系の拡張障害をきたした希な症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告した.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top