1996 年 25 巻 5 号 p. 318-320
症例は前胸部外傷の既往のある54歳男性で, 心不全にて精査したところ, 心前面から下面の辺縁に石灰化を伴う腫瘤陰影が認められ, 右室圧波形は dip and plateau を示した. 開胸すると心嚢膜と心外膜が肥厚石灰化し, その間隙に器質化血腫が充満していた. 体外循環下には心膜部分切除と血腫除去を行い, 心不全は軽快した. 外傷後血腫による圧迫と限局性の収縮性心膜炎により右心系の拡張障害をきたした希な症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告した.