日本心臓血管外科学会雑誌
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高度頸動脈閉塞性病変を呈した大動脈炎症候群に伴う大動脈弁閉鎖不全に対する1手術例
鈴木 憲谷口 和博門場 啓司宮本 裕治松田 暉
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1996 年 25 巻 5 号 p. 325-328

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抄録
症例は大動脈炎症候群に伴う頸動脈高度閉塞性病変と大動脈弁閉鎖不全を合併した29歳女性である. 血管造影により左鎖骨下および左総頸動脈の閉塞と右総頸動脈の高度狭窄が認められた. しかし右椎骨動脈からの側副血行よりすべての頭蓋内主要血管が描出され, 経頭蓋 Doppler 法および脳血流シンチグラフィーでは脳血流は正常であった. このため頸動脈再建は行わず大動脈弁置換術のみを施行した. 手術は経頭蓋 Doppler 法による左中大脳動脈血流速度のモニター下に, 中等度低体温下拍動流体外循環で平均体血圧60mmHg, 左中大脳動脈血流速度90%を維持して行い, 脳合併症は認めなかった. 頸動脈に高度閉塞性病変を有する症例に対し開心術と同時に頸動脈血行再建を施行するか否かに関しては議論があるが, 術前検査および術中管理を慎重に行えば同時手術を回避して開心術のみを行う方法も有用であると考えられた.
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