日本心臓血管外科学会雑誌
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肺動脈弁位に巨大疣贅を認めた幼児の活動期感染性心内膜炎の1手術例
青山 貴彦塩井 健介間瀬 武則野垣 英逸永田 昌久
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1997 年 26 巻 1 号 p. 55-58

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抄録
乳幼児期の活動期感染性心内膜炎は比較的少ない. 今回われわれは心室中隔欠損症 (VSD) に合併した, 肺動脈内に巨大疣贅を有し内科的治療が困難であった. 幼児の感染性心内膜炎の手術例を経験したので報告する. 症例は2歳5か月児, 膜様部型のVSDおよび軽度肺動脈狭窄症と診断され経過観察されていた. 2週間高熱が続いたため, 心エコー検査を施行したところ, 肺動脈内に巨大疣贅を認めた. 内科的治療にて改善がみられず, 緊急手術を施行した. 手術は感染し破壊された肺動脈弁を切除掻爬し, 右肺動脈に達していた疣贅を可及的に除去した後, VSDパッチ閉鎖を行った. 術後経過はほぼ良好であった. 乳幼児の右心系の活動期感染性心内膜炎では肺塞栓による死亡例も報告されており, 内科治療に抵抗を示すものは早期の手術が必要であると思われた.
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