抄録
症例は74歳女性. 右大腿中央部の拍動性腫瘤および右大腿疼痛にて発症した. 血管造影にて右浅大腿動脈に最大径45mmの瘤を認め, 瘤より造影剤の漏出を認めたため, 浅大腿動脈瘤破裂と診断した. 手術は右大伏在静脈採取後, 大腿下部に皮切を加え瘤に到達した. 瘤前後で浅大腿動脈を遮断し, 瘤を切開して流入部と流出部で切断, これを大伏在静脈で再建した. 動脈壁の病理診断は cystic medial necrosis であった. 中膜壊死性の末梢動脈瘤は稀な疾患であり, 文献的考察を加え報告した.