日本心臓血管外科学会雑誌
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広範囲の郭清および弁輪部再建を行った感染性心内膜炎の1例
榎本 直史福永 周司米須 功尾田 毅友枝 博青柳 成明大内田 昌直
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1998 年 27 巻 1 号 p. 37-40

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抄録
完全房室ブロックで発症した活動期感染性心内膜炎に対し, 広範囲の郭清, 弁輪再建を伴う人工弁置換を行い, 根治せしめた1例を経験した. 症例は44歳, 男性で意識消失発作を主訴とし, 完全房室ブロックおよび心エコー図で大動脈弁, 僧帽弁, 三尖弁に付着する疣贅を認めた. 進行性の心不全のため手術を施行した. 手術では, 大動脈弁無冠尖全体に疣贅が付着しており, 無冠洞は巨大な細菌性動脈瘤を形成し, 三尖弁へ波及していた. また, 僧帽弁前尖にも疣贅が付着していた. 手術は大動脈弁, 動脈瘤を切除し, 完全に大動脈, 右房間を開放して十分な郭清を行った. 再建は, 動脈瘤入口部はウシ心膜で閉鎖し, Hemashield® graft を用い弁輪拡大を行い人工弁を縫着した. 僧帽弁, 三尖弁は形成術を行った. 広範な感染巣の完全除去と十分な郭清, 動脈瘤入口部の閉鎖, 組織欠損部の修復で治癒させることができた感染性心内膜炎の1例を報告した.
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