日本心臓血管外科学会雑誌
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大動脈二尖弁に伴う大動脈弁閉鎖不全症に対する大動脈弁形成術の1手術例
竹谷 哲門場 啓司澤 芳樹今川 弘西 宏之松田 暉
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1998 年 27 巻 2 号 p. 121-124

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抄録

大動脈弁病変に対する弁形成術は以前より報告されているが, その形成は困難なことが多い. とくに大動脈二尖弁は弁輪の狭小化, 自己弁の変性, 石灰化より手術操作が困難なことがある. 今回, われわれは大動脈二尖弁による大動脈弁閉鎖不全症 (以下AR) に対し種々の形成術を組み合わせ大動脈弁形成術を施行した一例を経験し良好な結果を得たので報告する. 症例は31歳の男性. 10年前より心雑音を指摘され次第に労作時呼吸困難を認めたため精査施行したところ大動脈弁は二尖弁であり, 高度のAR (IV度) を認めた. 手術は raphe の一部を切除した後に弁尖縫縮を行い, 弁尖の接合性を良くするために redundant cusp の両側縁で交連部 cusp plication とさらに subcommissular annuloplasty を追加した. 手術は無輸血手術で可能であり, 術後経過は良好で, 大動脈弁逆流の残存, 圧較差を認めず, 弁尖の接合性は良好であった. 本症例では交連部における交連形成および肥厚した弁尖に対する切除縫合が有効な手技と考えられた.

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