抄録
小児心臓手術後急性期に大量の肺出血をきたした7例について検討した. 疾患の内訳は, 非開心術が Fallot 四徴症 (TOF)+肺動脈閉鎖症 (PA) 1例, 心内膜床欠損症 (CAVC)+大動脈縮窄症 (CoA)+動脈管開存症 (PDA) 1例, 開心術が心房中隔欠損症 (ASD)+心室中隔欠損症 (VSD)+PDA1例, 総動脈幹症 (PTA) 2例, 総肺静脈還流異常症 (TAPVC) 1例, CAVC1例であった. 7例中5例を術後8から54日に呼吸不全のため失った. CAVC+CoA+PDAは鎖骨下動脈フラップ法の術後で, 高圧が伝搬したことによる肺毛細血管の拡張と破綻が原因として考えられ, TOF+PAは体肺動脈短絡術後で網状の側副血行の破裂が原因として考えられた. 開心術の5例は, 全例が術後肺高血圧の治療に難渋した症例であった. これらの症例にも毛細血管の破綻が原因として疑われた症例があり, 発生すると致命的となる合併症であるため注意が必要と考えられた.