日本心臓血管外科学会雑誌
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Gelseal®4分枝付きグラフトの使用経験
櫻田 卓菊池 洋一光島 隆二中島 慎治草島 勝之
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1998 年 27 巻 2 号 p. 92-95

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抄録
ゼラチン被覆 (Gelseal®) 4分枝付き人工血管を用いた弓部大動脈瘤手術を1996年4月より12月までに9例に施行し, その操作性, 手術成績および問題点について検討を行った. ゼロポロシテイーであるこの人工血管は preclotting の必要がないうえ, 分枝作成の煩わしさもなく, 特に緊急手術時など人員および時間の制約のある場合に有用であると思われた. 手術成績は, 死亡例なく, 急性I型大動脈解離の1例に術後に対麻痺を認めたが, 全例軽快退院し, 良好な結果を得た. しかし, 術後1か月で20%程度のグラフト径の拡大を認めており, 今後の厳重な経過観察を要すると思われた. また, 術後2週目にCRPおよび白血球値の再燃を認めた. 同時期に穿刺を要した心嚢液および胸水の貯留を1例ずつにみたが, グラフトとの関連は不明であった.
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