抄録
症例は53歳, 女性. 37歳時に高安動脈炎と診断され47歳時より大動脈弁閉鎖不全症, 異型大動脈縮窄症を指摘されていた. その後, 上記の進行および僧帽弁閉鎖不全症のため次第に症状が進行しNYHA 3度となった. 大動脈弁置換術, 僧帽弁形成術に加え上行大動脈-腹部大動脈バイパスを行った. 体外循環中は腹腔内臓器の虚血防止のため, 上行大動脈に加えて大動脈終末部に吻合したグラフトからも送血した. 術後大動脈内の圧較差は消失し, 自覚症状も著明に改善した. 高安動脈炎症例で本例のように異型大動脈縮窄症を伴う場合は, 体外循環使用にあたって臓器の低灌流など血流の不均衡の予防およびそのモニター等様々な注意が必要であると思われた.